「発想術・企画術」から一度、離れてみよう
本日お話する内容は、アイデアが出るタイプの方、特に部下がいて協力してやり取りをしている方にとっては、おそらく既にお分かりになっているものかもしれません。「知っている」「やっているけれど、本で見たり人から聞いたことはない」という類の話かと思います。そこがミソで、「あまりにも当たり前過ぎて誰も気づいていないところ」に着目をしています。
私が研究をしてきたと表現していますが、そもそも研究対象となるような文献は存在しません。米国の大学でもこういった「アイデアそのものを理論化する研究」は殆ど行われていないようです。日本の大学についても、アイデアを理論化するテーマについて研究する学部があるという話を聞いたことがありません。世の中に発想法や発想術研究のようなものは多々存在するのですが、そもそも理論研究というものが体系的に存在していないので、私たちのこういう活動が有意義なものになればと思っています。
それでは、具体的な理論の話にはいりましょう。まずは私の閃き「アイデア理論」の基になったものから、ご紹介したいと思います。アイデア本と呼ばれる発想術の本によると、アイデアは「アイデアの要素の組み合わせ」とされています。つまり「アイデア×アイデア」だと言われていました。そんなわけで次のような意味のないことを考えがちなのです(笑)
「カメラ付携帯」が発売された時、「本当に携帯電話にカメラが付いているのだろうか?」という疑問が浮かびました。実はそのことが今回の理論の発見についての非常に重要な契機になっています。
頭の中ではすんなり理解できますが、カメラ付携帯について深く考察してみると、あくまでカメラそのものではなく「撮影機能」が付いた携帯電話ということがわかると思います。
アイデアの要素を組み合わせた時でも「携帯電話」のままなのです。「携帯電話」と「カメラ」というアイデアを組み合わせたとき、カメラがそのまま残るのではなく、あくまでも「撮影機能が付いた携帯電話」になるのです。
つまり、アイデアとはよく言われているような「アイデア×アイデア」というものではなく、その本質とは「概念×アイデア」ではないか、と考えるようになりました。さらに視点を変えて他のものも考えてみましょう。例えば「ノンアルコールビール」が去年から流行っていますね。
これもよくよく考えてみると、「ノンアルコール製法×ビール(アイデア×アイデア)」ではなく、単純に「清涼飲料水」です。ラベルにもそう書いてあります。つまり、あくまでも「ビール風味付きの清涼飲料水(概念×アイデア)」というアイデアなんです。
さらなる事例として、我々が日常的に接するサービスや会社でも考えてみましょう。
※次回は、「AKB48とユニクロとアップルの意外な共通点」についてです。