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パナソニック株式会社人材開発カンパニー
今までのパナソニックがやれなかったアイデアをメンバーが構築出来る可能性はあると思います。
今までのパナソニックがやれなかったアイデアをメンバーが構築出来る可能性はあると思います。

「アイデア理論ワークアウト」受講後インタビュー

パナソニック株式会社 人材開発カンパニー

小藪康(こやぶやすし)

今回、パナソニック人材開発カンパニー様によるリードでパナソニックにおける新規事業チームの一部メンバー様に「アイデア理論ワークアウト」のトライアル版を受講いただきました。今日は、その担当を担っていただいた小藪さんにインタビューをします。まず小藪さんのバックグラウンドと現在のミッションをお教えいただけますか?

もともとはパナソニック社内で社外向けITシステム開発のシステムエンジニアを、20年ほどやっていました。駅の電光掲示板やデータ放送の基幹システム開発などに携わっていました。現在は人材開発カンパニーにおいて、技術者向けの社員教育を中心に担当している部署に所属していますが「技術者スキル」といっても様々なカテゴリがあり、テクニカルやマネジメントと研修内容も多岐に渡っています。私はその中でもコミュニケーション力や、プレゼンテーション力といったいわゆるヒューマンスキル系の研修領域を担当しています。仕事の領域は研修開発から講師、加えて研修内容のご紹介(売り込み)まで幅広く担当していますね。

ヒューマンスキル系の研修は技術者の方のみが対象なのでしょうか?

エンジニア出身なので、主に技術者研修担当として業務を行っています。しかし技術者以外の営業部門スタッフなども研修受講は可能で、技術領域以外の社員も研修受講者対象です。またグループ関連会社の研修で講師を勤めることもあります。つまりパナソニック社員は誰でも参加できます。社内での領域を越えた公開型研修に関しては、イントラサイトで受講予約が出来るようになっており、このサイトはパナソニックグループの社員向けに全公開されており、研修を受けたい社員は情報を誰でも確認できます。

ヒューマンスキルやコミニケーション力、プレゼンテーションスキルなど、個人の能力向上ポイントとして注目されやすいテーマですね。小藪さんにとって現時点で研修提供担当者として、課題、つまり今後チャレンジしたいきたい領域とは何でしょう?

実は私が担当している研修の中で、最も人気があり受講者数が多いのは「ロジカルシンキング」研修です。「ロジカルシンキング研修」領域ではメソッドをいろんな会社が提供していたり、いろいろな講師の方がそれぞれの理論をベースに担当されていたりするのですが、個人的には【日々のビジネスしっかりやっていく上で論理的に考えを組み立てることのバランスをとる】ということが非常に大事だと思っています。


論理的に考えるということと、それを高めて新しいビジネスにつなげていくとか、将来今のものをベースに新しいことにつなげていくとかということを考えたときに、論理的に考えることと抽象的に考えることとの間を自由に行き来するような思想というか、思考ができることが大事になってくるのではないかと考えています。

今までのパナソニックがやれなかったアイデアをメンバーが構築出来る可能性はあると思います。


特に今、電機業界に限らず日本の企業は今までやってきたことがことごとくダメになると言われていて、何かしら新しいことをやっていかなければならないという中で、過去の経験を捨てていいのかというと必ずしもそうとは言えないと思うのです。


過去の経験を大事にしつつ、過去の経験だけでは食べられない部分もあるので、経験みたいなものをまとめて、抽象度を上げて次のものにつなげていくか、新しいものを生み出していくのかと言うときに今のものを論理的に整理してしっかり組み立てることと、それを上から俯瞰的に見て抽象度をあげながら新しいものを生み出していく、そういうことが自由にできる思考がこれからのビジネスマンにとって必要になるのではないかと個人的には考えています。つまりそういったテーマについて取り組んでいくことが課題のひとつです。


「新しいものを生み出していかなければいけない必然性に迫られている、そして一方で今まで積み重ねてこられたリソースや、マーケットに関する資産を活かしながらどう抽象度を上げて、拡張していくか」ということに関してなのですが、今回、トライアル受講を実施いただいた、【アイデア理論ワークアウト】はいかがでしたでしょうか?


ええ、実際に【アイデア理論ワークアウト】を講義いただいた時、実は最も私がその中で印象に残っていたことが、ひらめき財団代表の福井さんが「抽象度のレイヤーをしっかり決めて、アイデアを構築していきましょう」と講義をされたことなんですよ。

今までのパナソニックがやれなかったアイデアをメンバーが構築出来る可能性はあると思います。


アイデア作りのブレインストーミングをしようという時に、どの抽象度やレイヤーのアイデアを選んでいるのかが不明なままで、とにかく何か新しいことを考えようということがよくあります。そうすると一見ブレンストーミングやってるように見えるのですが、実は完全にすれ違いながら分散するだけのブレインストーミングが進んでしまっている状態ですね。本来のブレンストーミングの手法は優れたアイデア出しの手段なのですが、これではなかなか成果を出しにくいです。そこをブレイクスルー出来る見方ではないかと。


「おっしゃる通り立地点がバラバラ、つまりレイヤーが違うところから考えているので、言葉は同じでも実は考えていることがバラバラだったりということですね。


はい。ワークアウトで使用するサイコロに書くキーワード=概念の抽象度をしっかりと落とし込みながら作らないとダメですよ、ということにもこだわってお話しされてたいたと思うのですが、まさにそこが非常に大事だと思いました。自分からアイデアを作っていくということは通常大事だと思うのですが、実はその手前にあるアイデア抽象度みたいなものをどう捉えるかというところに丁寧にこだわっているところが考え方として斬新で非常に面白いなぁと思いましたし、私個人としては非常に納得できるところだったんですね。


小藪さんが今回【アイデア理論ワークアウト】トライアルでまず導入してみようとお考えになった動機をお聞かせいただけますか。


大きく2つあります。1つは、今まで弊社ではアイデアそのものを構築するという内容の研修は、やったりやらなかったりでまとまった形でなかなか実施できていませんでした。私の担当しているヒューマンスキル研修の中でもなかなか実施の機会がなかったので強化したいなという考えがありました。もう一つは、今回の研修受講者が、新規ビジネスに挑戦する方々だったことです。

今までのパナソニックがやれなかったアイデアをメンバーが構築出来る可能性はあると思います。


正直、新規ビジネスをやってくれというのは誰にとってもアイデア出しに必然的に苦しむことになる思うので、受講者がこの研修を通じて、アイデア出しの突破口を開くヒントやきっかけになればと考え、今回活用させていただきました。


【アイデア理論】という、まだ誰も知らないような手法を活用してのアイデア構築という少々説明しにくい内容でその価値や手法について社内に説明をされる際にご苦労もあったと伺いました。ぜひその辺りのことを参考までお聞かせいただければ。


正直、私も最初にこの研修の説明を聞いたときには、なかなか難しいテーマでもありますし、研修の意味を把握しづらかったんです(笑)しかし先にお話したように概念の抽象度を自在に観ることで、アイデアを構築するというテーマでブレイクスルーを期待するものがあり、今回新規ビジネスを担当される対象の方々限定という形で研修を実施しました。対象者の総数は全体で約250名。募集期間は短かったのですが、枠に対しての反応は早く、意外とすぐに集まりました。しかしながら、既に研修受講者が最終のアイデア出しの締め切り近い時期だったのでタイミングだけは悪かったと思います。(笑)もう少し立ち上がりの早い時期にこの研修をやっていたら反応はもっと大きく変わっていたと思いますし、「これをもっと早く、いや最初にやって欲しかった!」という声が受講者からも出ていましたね。

今回の受講メンバーそれぞれはアイデアを出すということに経験がなかったわけでは無いと思います。しかしアイデア範囲というか、どこを狙ってアイデアを出していくのかという部分から学べたところが今までの研修と今回の研修の最大の違いだと思います。

今までのパナソニックがやれなかったアイデアをメンバーが構築出来る可能性はあると思います。


ある範囲の中で実装方法を深く検討する、実現のためのアイデアを考えると言う事は、今までも要求されてやってきた部分があると思いますが、今回はアイデアに求められる抽象度のレイヤーが違う中でのアイデア出しであったため、今までとは全く異なる物の見方の変化や気づきがあったと思います。

もともと期待されていた内容に対して、今回の研修に対する成果インプレッションはいかがでしたか?

研修実施前にいただいていたお話の中で、「既存のアイデアを組み合わせて新しいアイデアを作る」という考え方は私も理解していたつもりなのですが、「既存のアイデアをどう捉えるのか、すでに世の中にあるものをアイデアの種として捉えるときに、そこをどう捉えるのか」という部分が当初のイメージと異なっていました。

こんなこと言ったら失礼かもしれませんが、アイデアが既存のものから出発すると言う考え方自体は言い古されたことだと思うんですよね。それを活用してこんな新商品作りましたと言う話は、よくテレビや雑誌でも紹介されています。既存のものとどうつなげるかといったときに、技術の断片とかコアテクノロジーを生かして開発をするといった話はよくある話だと思うのですが、抽象度をもう一回見直し、抽象度を合わせた上で、ダイスの上にシールを貼り付けて作っていくという、抽象度を自在に変えていくというところが私の想像と違っていたところです。

つまり概念の理解と概念についての扱い方、見方が新鮮だったということですね。

ええ。まさにそうです。今回、実施にあたり福井さんはじめ皆さんが大変だったろうなぁと思うのは、サイコロを転がしてアイデアを出すということ自体を参加者に違和感なく受け入れてもらうための準備でした。

今までのパナソニックがやれなかったアイデアをメンバーが構築出来る可能性はあると思います。


最初に用意いただいたダイスの内容もそうですし、実はその先にこんな概念というものが存在してそこから組み立てていくことが大事なんだということを理解してもらわなくてはならない。あの短い時間の中できちんと理解を促進するために準備をいただいたのはなかなか大変だったと思いますが、非常に好評でした。

そういう意味で2回のセッションは良い意味で期待を裏切られたということだとおもいますが、その他に気になった点だとか可能性を感じた点はありますか?

これもほとんど狙われている事と思うのですが、「サイコロにアイデアを言わせる」という点が非常に面白いと思いました。企画や営業職の人間であれば、変わったことを言ったり、面白いことを言ったりすることにあまりためらいが無いのでサイコロは必要ないのかもしれないのですが、技術の人間はそれができる人とできない人がいます。サイコロの目が出てそれに対して何かを言わなければいけないと言った時に、多少恥ずかしいサイコロの目が出たとしてもこれはサイコロが言わせてるんだなみたいなことを言えてしまう。

対人感情抜きに、ピュアにアイデアをサイコロのせいにできますからね!(笑)

技術の人間にとって、サイコロがいいファシリテーターになっていたと思いました。ブレインストーミングや従来のアイディアづくりの会議をやるときに、ファシリテーターの存在が大きいと思うんですよね。

今までのパナソニックがやれなかったアイデアをメンバーが構築出来る可能性はあると思います。


サイコロにものを発言させられることが中心になって回っていくところがあるので、特に技術の人間とってはアイデア話すということの気持ちの壁みたいなものが取りやすかったと思います。

サイコロ転がすということ自体は、子供の頃から皆さんやっていただいてることで、楽しい時間を過ごすということができたと思うのですが、アイデアを出すことが、結構大変でプレッシャーもあると思いますし、新規事業考えろと言われてもなかなか大変なところがあると思います。今回はトライアルということでしたが可能性はイメージいただけましたでしょうか。

まずサイコロを使うという手法を理解して、自分たちでサイコロを転がしアイデアを出して、それを実際の世の中のビジネスの環境と照らし合わせて、というのを繰り返すというのも自分たちが主導になって進められるようになれば、アイデアを具現化するところの尻尾から頭まで1つつなげて展開できるようになるのではないかと思います。そういった起爆剤というかドライバーとして非常に面白いのではないかと思います。

今回はエンジニア向けの研修ということでトライアルをいただいたわけですが、御社の中でこういった理論&メソッドが響きそうだなと思われる部門であるとか、領域というのはどんなところが考えられますか。

今までのパナソニックがやれなかったアイデアをメンバーが構築出来る可能性はあると思います。


商品企画などのスタッフにもより可能性があると思います。ご存知のように日本の家電というのは相当苦しい状況にあるので、当たり前の家電とか作っていたら何処の国とも戦えない。そういう状況になっているので、日本の既存のアプライアンス商品みたいなものをやってる人たち向けの、例えば冷蔵庫なり、洗濯機なりであれば、そもそも冷蔵庫って何?とか洗濯機って何?とかアイデア理論の概念から捉え直してちょっと新しい観点から見ることが出来たりするということはあるのではないかと私は思います。

今までのパナソニックがやれなかったアイデアをメンバーが構築出来る可能性はあると思います。

小藪さんの個人的な意見で結構ですが、アイデア理論が、御社の中できちんと活用されていくことをイメージされる場合、新しいアイデアが生まれそうな予感はありますか?

ええ、前回、研修受講したメンバーたちがやろうとしている世界というのは正直言って今まで全然やれていない部分なんです。新規ビジネスを考えるという人たちが例えばこういうメソッドとか、マーケティング理論とかを組み合わせながらしっかり使いこなすことができるのであれば、ちょっと今までパナソニックがやれてこなかったことがやれるようになることが出てくるようになるのではないかと期待しています。

最後にひらめき財団に期待されることやメッセージがありましたら、一言お願いします。

ひらめき財団メンバーはみなさんそれなりのスキルがあり、キャラもたっている方々で構成されているのでとても面白いと思いました。そういう方々が集まってアイデアという全く新しいジャンルで世の中に向けて活力を感じさせる活動をされているというのは、まだまだ日本もすごいなと思いました。アイデア構築をするための活動で、研究成果を上げられます様、これからますます期待しています。

元気なアイデア溢れる日本になるために、ひらめき財団メンバー一同、さらにお役に立てます様に頑張ります。今日は本当にありがとうございました。
(2014年3月13日/パナソニック人材開発カンパニー本社にて/インタビュアー 高本昌宏)

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