まずアイデアが存在、そして商品が発明される
そのようなアイデアの中で、世界で一番普及したアイデアではないかと思われるのは、年間何百億食と消費されているカップラーメンや即席ラーメン食品です。
ラーメンは元々は自分で調理行為が必要なものです。それをお湯をかけるだけで簡単にできるようにするというアイデア。発明というのはそのアイデアをどうやって実現するか、技術開発や製造方法に革命が起こって、こういった本当のアイデア商品になるのだと考えられます。ここで何が言いたいかというと、必ず最初に既存アイデアがあって、そこから商品が発明されるということです。
ただ電子レンジは別みたいですが、電子レンジはマイクロ波を研究している人が、ポケットにチョコレートを入れていたら、なぜかいつもチョコレートが溶けていて、それをよく考えてみるとマイクロ波で温かくなっていたことに気がついた。それが電子レンジの元のアイデアになったそうです。
そういった場合を除いては、ほとんどがアイデアを思いついて、それを商品・サービスにしています。
即席ラーメンとカップラーメンは似ている事例だと考えていたのですがよく考察してみますと「概念キューブ」は、おそらく本質的には「容器を準備する、準備しない」という概念がキーだと考えられます。
カップヌードルは発泡スチロールをあの形状に生成する技術を実現出来たからこそ、製品化出来たそうです。当時、商品化への反対意見が相当に激しかったようで、家庭のどこにでもある容器を、なぜわざわざ準備する必要があるんだと。しかし、その「常識的」な反対にも負けずに「いつでもどこでも、もっと簡単にすぐに食べられるようにしたい」という熱い思いで開発したそうです。
その後、あさま山荘事件で厳寒の野外山中でもラーメンが簡単に食べられることが象徴的に紹介され、そのアイデアの素晴らしさに一般の人々が気付き、爆発的なヒット商品になった。これは、「そんなものは必要ない」という常識や思い込みに負けずに実現されたイノベーションの典型的事例だと思います。
※次回は、「イノベーションが求められる理由とは?」についてです。