私たちは今、夢のような時代を生きています。
頭の中に浮かんだアイデアが、一瞬で画像になり、動画になり、Webサイトになり、アプリやサービスにまでなっていく。
かつては、画期的なアイデアを思いついても、それを形にするためには、専門的な知識や技術、資金、そして多くの時間が必要でした。
しかしAIによって、その壁は急速になくなりつつあります。
私はAIが大好きです。
これほど人間の可能性を広げてくれるものはないと思っています。
一方で、少し気になっていることがあります。
AIで出来ることは増えている。
でも、自分自身の能力まで増えているのだろうか。
文章を書くことも、調べることも、考えることも、アイデアを出すことさえAIに任せられるようになったとき、私たちは自分の頭で考える機会を失ってはいないでしょうか。
だから私は、AI時代になればなるほど、アイデアが大切になると考えています。
財団設立当初に夢見ていた「魔法の箱」
ひらめき財団を設立した当初、私はひとつの未来を思い描いていました。
「こんなことを実現したい」と入力すると、そこから無数のアイデアが生まれ、そのアイデアを自ら評価し、ブラッシュアップし、最後には可能性の高いアイデアだけを提案してくれる。
そんな「魔法の箱」です。
当時はまだ夢のような話でした。
しかしAIの登場によって、その魔法の箱が現実のものになろうとしています。
AIにアイデア理論を理解させれば、無数のアイデアを考えさせ、採点し、比較し、ブラッシュアップさせ、その中から厳選したアイデアを提案してもらうことができます。
さらに、そのアイデアを画像や動画、Webサイトにし、実際のサービスにまで発展させることができる。
財団設立当初に夢見ていた「アイデアを生み出す魔法の箱」が、現実になり始めているのです。
これから必要なのは「何をAIに任せるか」を判断する能力
これから社会で生きていくために必要な能力は、大きく変わっていくのではないでしょうか。
知能、記憶力、知識量。
そして、これまで人間だけの能力だと思われてきたクリエイティビティさえ、AIは急速に獲得しています。
だとすれば、これから人間にとって重要になるのは、AIが生み出したアイデアを見て、「どうすれば成功するか」を設計できる能力ではないでしょうか。
AIに何を考えさせるのか。
どのアイデアを選ぶのか。
どこを改善するのか。
そして、そのアイデアをどうすれば成功させられるのか。
実現する作業の多くは、AIに任せられるようになっていくでしょう。
だからこそ人間には、「何をAIに任せるのか」を短時間で判断する力が必要になります。
AIは優秀。でも、最後に判断するのは自分
AIはとても優秀です。
でも、「こんなアイデア、どう?」と聞くと、多くの場合、そのアイデアの良いところを見つけて「素晴らしいアイデアです」と答えてくれます。
もちろんAIに、厳しく採点させ、反論させ、比較させることもできます。
それでも最後には、
「これは本当に良いアイデアなのか」
「成功する可能性があるのか」
「自分はこれを実現するのか」
を自分自身で判断しなければなりません。
自分の頭で考える力。
そして、自分自身の判断基準を持って決める力。
これは、おそらくこれからも人間にとって重要な能力であり続けるでしょう。
では、「良いアイデア」とは何なのか。
そこで必要になるのが、アイデアそのものを理解することです。
アイデアとは何で出来ているのか。
人は何を求めているのか。
成功するアイデアは、どんな構造を持っているのか。
アイデア理論では、その答えを「人の欲求」と「アイデアの分解」から学んでいきます。
アイデア理論の基本となる考え方は、
「アイデアとは、人の欲求を満たすモノやコトである」
というものです。
良いアイデアを考えるためには、まず人が何を求めているのかを知らなければなりません。
そして、そのアイデアが、どんな欲求を、いくつ、どのように満たしているのかを考える。
たとえばスマートフォンは、単に「電話をする」というひとつの欲求を満たすものではありません。
人とつながる、知る、楽しむ、学ぶ、仕事をする、記録する、表現する、買い物をする。
非常に多くの欲求を、ひとつのアイデアの中で満たしています。
だからこそ、大きな価値を持つアイデアになったと考えることができます。
目の前にあるアイデアは、誰の、どんな欲求を満たしているのか。
より多くの欲求を満たすアイデアへ進化させられないか。
この視点を持つことで、AIが無数に生み出したアイデアを、自分自身で判断できるようになります。
AI時代だからこそ、アイデア理論を。
AIがアイデアを考える。
AIが採点する。
AIがブラッシュアップする。
AIが画像や動画をつくり、プログラムを書き、サービスまでつくる。
そんな時代が始まりました。
だからこそ、人間に必要なのは、
何を考えさせるか。
何を選ぶか。
何を捨てるか。
何を改善するか。
そして、何を実現するか。
を判断できる力です。
私は、AIによって人間が考えなくてよくなる未来をつくりたいのではありません。
AIによって、人間がもっと大きなアイデアを考えられる未来をつくりたい。
ひらめき財団が設立当初から目指してきたのは、
「誰もがアイデアマンになれる社会をつくること」
です。
AIで出来ることが増えた。
だからこそ、自分で考える力を。
無限にアイデアが生まれる時代だからこそ、それを判断する力を。
そして、実現することをAIに任せられる時代だからこそ、
「何を実現するのか」を考えられる人に。
私が最後に実現したいこと
最後に、少し不謹慎に聞こえる表現かもしれませんが、私にはひとつの大きな夢があります。
それは、「戦争」という人類にとって最悪のアイデアを終わらせることです。
もちろん、戦争を肯定する意味ではありません。
戦争もまた、国家やその指導者が、対立や利害を解決するために人類が選んできた手段のひとつだと捉えるなら、私はいつか、それを上回るアイデアを提示できるようにしたいのです。
国と国が深刻な対立に直面したとき。
「戦争をするか、しないか」という二択ではなく、
双方の人々の欲求を分析し、無数の解決策を考え、評価し、改善し、その中から戦争よりも優れた選択肢を一瞬で提示する。
そんな「魔法の箱」をつくりたい。
人間だけでは思いつかなかった100万通り、1億通りのアイデアをAIが考え、その中から、人の欲求をより多く満たし、より多くの人が未来へ進めるアイデアを見つけ出す。
そして最後に、そのアイデアを選ぶのは人間です。
財団設立当初に夢見ていた「魔法の箱」は、もう夢物語ではなくなってきました。
アイデア理論 × AI。
この組み合わせによって、企業や個人の成功だけではなく、人類が抱える大きな問題に対しても、これまでとは違う選択肢を提示できるかもしれない。
私は、その未来に近づいていると信じています。
戦争よりも良いアイデアを。
それが、ひらめき財団で私が最後に実現したい夢です。

